盗撮の定義とは?
盗撮で捕まった人は、いったいどのような罪に問われるのでしょうか?
実は「盗撮罪」というものはなく、盗撮は「軽犯罪法」や「迷惑防止条例違反」に触れる行為です。弁護士に依頼する前に、それらの違いなどの基本を押さえておいた方がいいでしょう。
軽犯罪法
軽犯罪法は、軽微な秩序違反行為を取り締まるものです。罰は三十日未満の拘留または一万円未満の科料となっています。科料とは千円以上一万円未満の金銭を取り立てる刑罰です。
迷惑防止条例
迷惑防止条例は、各都道府県ごとに違いますので、東京都を参考例として挙げます。初犯などの場合は一年以下の懲役または百万円以下の罰金、常習犯の場合は二年以下の懲役または百万円以下の罰金です。
罰だけを見比べれば迷惑防止条例違反の方が軽犯罪法違反より重いと言えるでしょう。都道府県によって罰金の上限額は違いますが、百万円を超えることはありませんので安心してください。
ただし悪質と判断された場合は、百万円を超える高額な罰金を科すことができないため、罰金刑ではなく懲役刑が言い渡されることになりますから注意が必要です。
不起訴にもっていくことの難易度は、罰の重さとは逆で、迷惑行為防止条例違反より軽犯罪法違反の方が上となります。迷惑防止条例違反に当たるのは駅などでスカートの中を撮影した場合などです。
それに対し、軽犯罪法違反は個人宅に無断で入って撮影した場合などです。後者の場合は、住居侵入罪が問われる可能性があります。そのため刑事弁護において不起訴を勝ち取るのが難しくなります。
スマホ盗撮は犯罪
今ではスマートフォンや携帯ゲーム機など、さまざまな機器にカメラが搭載されています。またペン型やメガネ型のように小型で高性能なカメラも増えました。
それに伴って、盗撮の被害も以前より増加しています。女性の後ろに立ってスカートの中を撮影したり、トイレに仕掛けて撮影したりするなど、さまざまなケースがあります。
これらの行為が良くないことは当然ですが、具体的にどのような罪になるのか知らない人も多いでしょう。実は盗撮に特化して取り締まる法律は存在しないです。
しかし都道府県が定める条例などに抵触するので、犯罪であることに違いはありません。
迷惑防止条例違反
たとえば公共の場所でそのような撮影を行えば、迷惑防止条例を違反したことになります。訴えられて罪が確定したら、罰金の支払いや懲役などを命じられます。
軽犯罪法違反と住居侵入罪
その他に、軽犯罪法に抵触するケースも珍しくありません。入浴している女性を撮影するケースなどは、軽犯罪法の違反に該当します。
さらに許可を得ずに他人の敷地に侵入していた場合は、住居侵入罪なども適用される可能性が高いです。このように条例や法律に違反するので、裁判に発展する可能性は大いにあります。
逮捕
盗撮していることが発覚すると逮捕されます。
その後に起訴されることによって、裁判が開始するのが一般的な流れです。この流れとはもう一つ別の流れも存在します。それは示談によって裁判にまで進展しないパターンです。
前科をつけたくない
たとえ盗撮で逮捕されたとしても、起訴されなかった場合、あるいは起訴されても無罪になれば前科が付く事はありません。
しかし日本国内の裁判では一度起訴されてしまうと無罪になる確率はほぼないというのが現状です。つまり無罪を勝ち取るには逮捕されたらすぐに弁護士に依頼をして不起訴処分を勝ち取る事が何より大切になってきます。
不起訴になるには
ではどのように逮捕から不起訴まで持っていけば良いのかというと、実際に盗撮行為はしていないのに容疑をかけられている場合は、被害者の供述に信用性がないなど冤罪を主張し検察官から嫌疑なし、あるいは不十分として不起訴を勝ち取りに行くのが一番です。
実際に証拠が出てきて、なおかつ盗撮行為を行ったという事をはっきりと認める場合は、被害者に対してとにかく心から謝罪をして示談を成立させ、検察官が起訴の必要なしと判断するようにもっていかなければなりません。
盗撮の示談交渉の流れ
盗撮などの刑事事件において、示談は非常に重要なポイントです。示談が成立すれば不起訴となって、前科がつかない可能性が高いからです。
盗撮の示談も、その他の刑事事件の示談と同様に、裁判によらずに加害者と被害者の合意によって賠償金問題を解決することを指します。示談成立の場合は、加害者は被害者に示談金を支払う義務が生じます。
盗撮の示談も一般的な示談と同じ流れです。
弁護士に示談を依頼するとスムーズ
まず加害者側と被害者側の話し合いから始まります。もし被害者の連絡先を知らない場合は、弁護士を選任しなければなりません。弁護士ならば、警察官や検察官に頼んで被害者の連絡先を開示してもらえる場合が多いからです。
そして弁護士が被害者側と話し合っていくことになります。ただし示談交渉にいきなり入るのではなく、先に謝罪の手紙を送った方がいいでしょう。弁護士に依頼すれば謝罪文の添削をしてくれます。
次に示談の条件を決めていきます。加害者にメリットの多い示談ですが、被害者にもメリットがないわけではありません。被害者は裁判などの面倒な手続きを経ることなく、賠償金を手に入れられます。しかし加害者に処罰感情を強く抱いている場合は、加害者の刑事処罰が軽くなる示談を避けるかもしれません。
示談書の作成
示談条件が確定したら、示談書の作成に入ります。示談書作成は示談成立の必要条件ではありませんが、その後のトラブルにならないためにもきちんと書面で残しておきましょう。
示談書には事件の内容や示談金の金額などだけでなく、被害者が告訴を取り下げることなどを盛り込むと良いです。被害者が加害者を許すという内容が含まれていた場合、刑事手続きで加害者に有利に働きます。
最後に示談金を支払い、両者がサインをして示談が成立します。
気になる盗撮での示談金相場
示談をする前に、気になるのは盗撮の示談金の相場でしょう。かなり高額になるという話を聞いたことがある人もいるかもしれません。盗撮の示談金は、精神的損害を受けた被害者への慰謝料の性質が強いです。
実損が生じた場合はその弁償も示談金に含まれますが、一般的には精神的苦痛に対して支払う場合がほとんどです。ですので盗撮の示談金は慰謝料であると言えます。
そのため盗撮の示談金は初犯だからといって安くなったりすることはまずありません。
また、被害者の処罰感情に左右されますから、盗撮の示談金の相場はいくらとは一概に言えないのです。
示談金の上限
ただ盗撮の示談金の上限は五十万円くらいになりやすいのも事実です。それは迷惑防止条例の盗撮の罰金額が五十万円であることが多いためです。
罰金刑となっても絶対に五十万円の支払いを命じられるわけではありません。あくまで上限でありそれ以下となります。そのため五十万円を大幅に超えるような示談金の場合、加害者側が受け入れないのです。
ただしこれはあくまで目安であり、もっと高くなるケースもあります。加害者が前科がつくことをおそれ、不起訴処分を狙うためあえてやや高額にする場合です。
よって、盗撮の示談金の相場は、数十万円と言えるかもしれません。ただしネットに画像を流したなどの悪質な場合は、もっと高額になることもあります。
盗撮事件と一口に言っても、かなり複雑なものです。盗撮事件においても刑事事件弁護士に依頼することは大切です。
まとめ
このように盗撮事件で逮捕されてしまうと非常に大変な事になってしまいます。
こうならない為にも盗撮など絶対にやらない事が何より大切ですが、もし万が一やってしまった場合は心から反省し、前科をつけずに不起訴を勝ち取る為に、知識や経験豊富な弁護士に依頼をして適切なアドバイスを受ける事が重要です。