詐欺に遭った、騙されたということがわかれば、通常は警察に被害届を出すのが一般的です。
犯人の逮捕に至れば被害者にその旨報告があり、そのまま刑事事件として扱われることになります。まずは取り調べを受け、裁判で裁かれるという流れに進んでいきます。
犯人が捕まったことで安心したいところですが、ここで問題になるのは肝心のお金の行方です。
返還されるかどうかは被害者にとって最も関心の高い部分ではないでしょうか。騙されたという悔しさも考えれば、金額に関係なくぜひとも取り返したいと考えるのが通常の感情です。
刑事事件と民事裁判の差
刑事事件の場合、あくまで犯罪に対してしか裁かれることはありません。どのような刑が執行されるかということが中心になります。
どの程度の規模の詐欺を働いたかについての捜査はされますが、総額や手口を調べたところで「被害者に返還しなさい」という内容を裁判官が下すことはありません。
お金の返還を求めるには「民事裁判」
被害者に返還するかどうかの審判が下されるのは「民事裁判」です。
犯人が逮捕されても刑事事件として扱われ「刑事裁判」に進むだけなので、お金の返還を求めるには「民事裁判」を起こす必要があります。
ここで注意したいのは、裁判を起こすことで必ず全額が取り戻せるかどうかは保証されないということです。詐欺を働くという人は、人には言えないお金の使い道があるという可能性を考えておきましょう。
例えば、借金であったり浪費やギャンブルであったりというケースです。まれですが、生活費を詐欺でまかなっていたという犯罪者も存在します。その場合は、とっくに使っていることが考えられます。
騙し取られたお金が無事に戻ってくる保証はありませんが、「民事裁判」で請求することは可能です。
使っていない部分があれば、そこからの返還も見込めるかもしれません。充当できる資産があれば売却して換金できることも考えられます。また、刑事事件として逮捕された後に「民事裁判」を行うほうが、有利に動くこともあります。
示談か民事裁判に持ち込むべき
詐欺かどうか何とも言えない時点で「民事裁判」を起こしても立証できないような場合もあるからです。もちろん、すべてのケースに当てはまることではありませんし、犯罪が立証されてもお金が返還されることにはつながりません。
一旦刑事事件になっても、お金が返還されるケースの一つに示談があります。被害届を出して犯人が逮捕されれば刑事事件になるのは確かです。被害届が出されたことで、本人や家族が慌ててお金の返還をするケースもあります。
会社や店の売上を横領したというようなケースでは、家族が支払って被害届を取り下げてもらうパターンは少なくありません。
しかし、もちろんこれは返還する意思がある場合のことです。また、返還できるだけのお金がなければ、示談成立は見込めません。詐欺が疑われたら被害届を出し、刑事事件にすることが一番です。
しかし、そこから先のお金の返還をめぐっては「民事裁判」に発展させるか、それ以前の示談で可能かは、状況で分かれると言えるでしょう。