万引きで逮捕されてしまった場合、弁護士に依頼をしてどのように不起訴を勝ち取っていくには、いくつかやらなければならない事があります。
万引きが不起訴になる可能性
嘆願書
起訴されるかされないかはとても大切です。もし起訴されてしまうと日本の裁判ではほぼ有罪になる確率が高いからです。そこで何としても起訴されないようにするのに一番効果的なのは、実際に被害にあわれたお店の人に嘆願書を書いてもらうという事です。嘆願書とは分かりやすくいえば不起訴になるように罪を軽くしたり、寛大な処分をお願いしてもらう書類の事です。
これを被害者に書いてもらい検察官に出せば不起訴になる可能性がかなり高くなります。
しかし実際に被害にあわれた人に対して嘆願書を書いてもらう事はかなり難しいです。ではどのようにすれば嘆願書を書いてもらえるようにもっていけるのかというと、まずは被害者との間に示談が出来るように進めていくという事です。
万引きで逮捕されたら
逮捕されてしまったらすぐに弁護士を通して被害者へ連絡をして謝罪文を書いて送るという事が大切です。そしてさらに可能であれば直接菓子折りの一つでも持って謝罪をする事も必要です。
その上で被害者に万引きした商品の弁償と慰謝料の支払いを提案し、納得していただいたらすぐにその場で示談書と嘆願書を合わせて書いてもらうという方法が良いです。
嘆願書がもらえなかった場合は、何とか示談だけでも成立させる事が必要になってきます。そして示談書さえ書いてもらえれば、検察官が起訴か不起訴かを決める時に大きな判断材料の一つとなります。
嘆願書がなくても被害者との間で示談が成立していれば不起訴になる可能性が高くなります。
万引きの示談とは?
万引きをしてしまい、弁護士に依頼して量刑を軽くしようと考えている人は、まず示談について知った方がいいでしょう。
示談とは事件を当事者達の話し合いで解決することを言います。弁護士に依頼した場合でも示談を目指すのが基本です。
万引きの量刑
万引きは窃盗罪に該当する犯罪です。窃盗罪は刑法第二百三十五条において「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。」と定められています。万引きという言葉は法律的には明確に定められていませんが、この窃盗罪に含まれていると考えられます。
そのため有罪になった場合は刑法の規定に従い、十年以下の懲役刑または五十万円以下の罰金刑が科せられます。懲役刑は刑務所に拘禁して刑務作業を行わせる刑罰、罰金刑は一定の金銭を強制的に取り立てる刑罰です。
初犯の場合
初犯なら、よほど悪質な様子でない限り不起訴となります。不起訴処分になれば前科はつきません。もし重くなったとしても罰金刑となり、懲役刑になることはまずないでしょう。
再犯の場合、前科がある場合
ただし前科がある場合と複数の店で万引きしていた場合は、刑が重くなることもあり得ます。例えば、窃盗罪などで過去十年間に三回以上懲役刑を受けたことのある人が万引きした場合、常習累犯窃盗として三年以上の有期懲役に処せられます。
示談の重要性
万引きの示談で話し合われる内容は、主に損害賠償金や被害者が加害者を許すかどうかなどについてです。示談が上手く行けば、刑事処分が軽くなります。
加害者側が示談金を支払い、被害者側が示談金を受け取ることで、万引きのお金に関する問題が解決することになります。日本の刑事裁判では、起訴された場合かなりの確率で有罪になってしまうため、不起訴処分になるかどうかの分かれ目となる示談は非常に重要です。
重要な示談書と示談金
示談金
示談金は、示談を行った際、加害者が被害者に支払うと決めたお金のことです。
示談金の金額は、万引きした商品の値段や万引き行為の内容、被害者の処罰感情などを考慮して、双方の話し合いで決定します。基本的には被害品に対する対価の性質を持つため、万引きした商品がよほど高額でない限りそれほど高くなることはありません。
慰謝料
精神的苦痛に関して支払われる慰謝料は、万引きにおいては少なくなる傾向があります。慰謝料が多くなるのは、その被害者の店舗で何回も万引きを行っていたり、事件後の対応に手間がかかったりした場合です。そういったケースでも示談金は、万引きした商品の値段を大幅に上回る金額になることは珍しいです。
被害弁償の仕方
被害弁償の仕方は、被害品の買い取りや被害品の返還などの方法があります。
示談書
示談書とは、事件の内容や示談金の金額を記した書面です。示談を行ったという証明になり、後々揉めた際に重要になります。手書きでもパソコンでもどちらでも構いません。加害者と被害者の両者のサインが必要となります。
示談書に事件の詳細などを記載するだけでなく、示談によって被害者が加害者を許すということも盛り込んでおきましょう。また、万引きした商品の処分についても記載しておいた方がいいでしょう。買い取りをした場合は被害品は加害者の物となりますし、被害品の被害弁償をしただけならば被害品の所有者は被害者です。
示談書が完成すれば、被害者が後日何らかの賠償を求めてきても拒むことが可能です。
示談交渉は刑事事件弁護士に依頼
意外と加害者自らだけでは難しいのが示談交渉です。示談交渉とは、当事者の間で話し合って事件を解決することや、その話し合いの申し込みを指します。
まず話し合うには相手の連絡先を知っていなくてはなりません。もしわかっていれば問題ありませんが、連絡先がわからないのであれば弁護士に示談を依頼して、捜査機関から相手の連絡先の開示を受けることが必要です。
一般的に万引きの被害品の金額は高くはありませんが、被害者側としてはこれまでに行った万引き対策や今回の万引き事件に対する手間や費用などを考えて、容易には示談交渉に応じないことも少なくありません。特にチェーン展開している大手の量販店はその傾向が強いです。
示談交渉が困難な場合
示談交渉が困難な場合でも、何もせず諦めてはいけません。被害者に迷惑をかけてしまったことを深く反省して詫びることが大事です。そして被害品の買い取りや被害弁償を申し出ましょう。
示談交渉には応じなくても、被害品の買い取りや被害弁償には応じてくれる場合が多いです。
被害弁償などのお金を受け取ってもらえれば、被害が事後的に回復したことになり、加害者にとって刑事事件で有利な事情となります。もし公判請求された場合は、被害弁償についての領収証を証拠として提出できます。
示談交渉は忍耐と知識が必要
示談交渉は忍耐と知識が必要とされる難易度の高い問題です。できる限り早く上手く解決させたいのであれば、刑事事件の相談ができる弁護士を頼るのが最も効果的です。示談に強い弁護士であれば、示談交渉には一切応じないという大手の小売店などに対して、示談交渉を行う権限のない店長ではなく、本社と粘り強く交渉してくれます。
弁護士を選び方
弁護士を選ぶなら刑事事件に強い弁護士が望ましいでしょう。万引きに限らず刑事事件の早期解決には、できる限り早い段階で弁護士に相談することが大切です。タイミングを逃せば示談交渉はより難しくなってしまいます。