観護措置とは
少年事件が発生した場合、家庭裁判所の権限で観護措置と言われている措置が取られる場合があります。その種類は大きく分けて2種類あります。
一番よく採用されているのが、収容観護と言われている方法です。こちらの方法は少年を法務省が管轄している少年鑑別所という施設に送致し、確実に少年を収容して身柄を保全する観護措置です。
こちらの方法だと少年を確実に管理する事が可能です。そのため通常観護措置といえばこちらの方法になります。この方法を採用する事で行動の鑑別をしたり、心身の鑑別を行ったりします。その他にも確実に被疑者である少年が事件を起こしている場合には反省を促すことも少年鑑別所の大切な役割です。
こちらの方法を採用する場合注意しておくべき事があります。こちらの方法はかなりの時間を費やしてしまうのが特徴です。そのため時間を費やしてしまう事で、結果として被疑者の社会的信用や人間関係を破壊してしまう可能性が非常に高いです。そのため少年鑑別所で観護措置を行う場合には、出来るだけ短期間で終わらせる事が大切なポイントになります。
調査官観護とは
次に行われているのが調査官観護と言われている方法になります。こちらの方法は被疑者である少年を少年鑑別所のような法務省の管轄する施設に送致するのではなく、自宅などで生活したまま保護観察所の調査官が調査をする方法です。
こちらの方法だと少年の人間関係や仕事関係を壊すことはまずないですが、少年鑑別所のように隔離された環境ではないので万が一被疑者である少年が反省していない場合には逃亡する可能性も否定できない方法です。
少年及び両親や親戚の同意があれば、その際に適当な児童自立支援施設や更生保護の活動をしている社会福祉団体等に、被疑者を委託することはできますが、少年鑑別所のように費用を国や地方自治体が負担するわけではないので、少年鑑別所に預けるのと比べた場合、どうしても実効性に乏しいやり方となるのがデメリットです。
少年法の位置づけ
観護措置に関しては少年法には審判を行うため必要があるときとしか規定がないのが実情です。実際には、家庭裁判所ねの調査官や裁判官が詳しく調査をする必要があると認めた場合に行われるのが実情といえます。
こちらの措置の期間ですが、法律には2週間という定めがあり、さらに例外規定として法律の条文には特に継続の必要があるときに1回に限り更新することができるとの記載もあります。
しかし実情はほとんどの少年事件で例外規定が適応されており、実質は4週間観護措置が取られています。なお一定の要件を満たす場合にはさらに4週間の延長が認められる場合があります。
その場合とは死刑や無期懲役などが適応される可能性が高い事件を起こした場合です。そのようなパターンだとほぼ100パーセントの確率で最大限こちらの措置が適応されるのが特徴です。
この措置は事件が解決した場合にはすぐに取り消しをしなければいけないと法律に記載されています。そのため警察や検察が真犯人を検挙し起訴した場合には速やかに決定が解除されます。また弁護士や家族が真犯人を見つけた場合でも全く同じです。
通常こちらの措置は検察官が裁判官に対して依頼して行われるます。しかし検察官も間違う事がありますが、被疑者だけではどうしようもありません。そこで被疑者にとって大きな力になるのが弁護人と言われている弁護士になります。弁護士は法律で依頼人の権利を守ったり、依頼人の意向に沿った活動をかしなければいけないと定められ法律家です。
そのため少年鑑別所に入った場合でも弁護士だけは被疑者と接見する事が法律で認められています。弁護士は事件の事実を認めた場合には反省を促し、検察官や裁判官を通じて被害者との示談交渉などを行っていくのが特徴です。
被疑者が罪を認めない場合や警察や検察の捜査に不備が認められる場合には、再捜査を依頼したり自らが捜査をしたりして、無実を証明するような活動を行います。そしてその結果を警察・検察などの捜査機関や、裁判官に直接伝えて、こちらの措置を解除するように強力に働きかけます。
こちらの措置に異議がある場合には、裁判官に対して異議申し立てを行う事が可能です。その際には弁護士が申し立て書を作成するのが有効なのには間違いないです。
さらに言えば学校などで普段どのような活動をしていたかを記載したり、両親からの陳述などを記載します。本人の反省の意思を記載した陳述書や働いている人だと、勤務先での仕事の様子を記載した書類を、裁判官や検察官に提出するのも有効な方法です。仮に異議申し立てが認められない場合には高裁や最高裁に公告や特別抗告する事も法律で認められているのも特徴になります。
事件によっては共犯者がいる場合もあります。そのような場合には、弁護士としては共犯者もこちらの措置を取らないように働きかけたり、取られている場合にはまとめて解除してもらうように働きかけていくのも仕事です。