刑事事件弁護士を選ぶなら元検事(ヤメ検)弁護士?ベテラン弁護士?

法務省弁護士

ヤメ検ヤメ判という言葉を知っていますか?

  • ヤメ検とは、検察官(検事)出身の弁護士
  • ヤメ判とは、裁判官出身の弁護士

を言います。刑事事件の弁護には、ヤメ検が検察に顔が効くので有利とか、ヤメ判が裁判所に顔が効くので有利とか言われます。本当なのでしょうか?

検察官のお仕事とは?

検察官とは何でしょうか?検察官は、検事と副検事がいます。法律に違反した被疑者をしらべて、裁判にかけるか、かけないか?慎重に判断する仕事をしています。

警察は、犯人を見つけて逮捕し、証拠集めがお仕事です。

一方、検察官は、被疑者が本当に犯人かを調べて、起訴するか(裁判にかけるか?)判断します。起訴されなければ、裁判も始まりませんので、大きな役割を検察が持っています。

起訴できるのは検察官だけです。それだけ検事の仕事は責任が大きいのです。

参考外部サイト:検察官って何?(検察庁サイト)

元検事・元判事の弁護士は、刑事事件に精通している?

判検事出身は、刑事裁判に精通しているから有利と言われます。

弁護士の多くは、圧倒的に件数が多く、お金になる民事事件に比重を置いています。

交通事故専門(弁特を使って慰謝料増額の示談交渉)とか、債務整理専門(ひたすら借金整理、自己破産の仕事)とかで、他の刑事事件は経験が少ない弁護士も実際にはいます。

法曹としての稼働年数が同じ司法研修所同期の場合、刑事事件に力をいれている事務所は別として、一般の弁護士より、判検事のほうが刑事事件の経験が多いのは当然です。

しかし、判検事出身者の全てが同じではありません。まず、何年勤務した後、弁護士に転身したのかで違います。数年程度では、経験が豊富とは言えません。公費留学年数などが含まれていれば尚更です。

在職中、実際にどれだけ刑事裁判の現場を経験してきたかが肝心です。

検事・判事の仕事

判検事には、裁判以外の仕事も沢山あります。

検事は、法務省職員として行政官の仕事に長く携わる場合もあります。訟務検事、すなわち国家賠償訴訟等の国側代理人等、民事・行政訴訟を担当する場合もあります。

参考外部サイト:法務省における検事の職務(法務省)

判事も同様で、裁判所の人事、総務など、司法行政に主に携わり、裁判の経験が少ない人もいます。また判事は、最初から刑事畑と民事畑に別れるので、民事担当には、刑事裁判の経験はほとんどありません。

参考外部サイト:裁判官の人事評価の現状と関連する裁判官人事の概況(裁判所)

つまり、判検事出身といっても、同列に見ることはできないのです。

ヤメ検、ヤメ判は、刑事事件に顔が効く?

判検事出身者は、検察庁、裁判所に顔が効くのでしょうか。検察庁も裁判所も、巨大な権力組織です。

顔を効かせた結果、裁判の公正が歪められたことが外部に漏れれば、国家的な大問題です。判検事出身だから、捜査や裁判をどうこうしろと要求できるわけではありません。

判検事出身の弁護士でも、誠実に職務を行っている方は、たとえ言外にせよ、顔が効くなどという話を売り物にはしていません

ヤメ検弁護士の強みとは?

検察は起訴するかしないかを判断する仕事をしているわけですが、弁護士は被疑者の不起訴を獲得する仕事をしており、相反する立場にいます。

つまり、元検事の弁護士の強みは、その相手となる、検察の考え方・立証の仕方を熟知している点(手の内を熟知している)になります。

不起訴や、無罪判決、執行猶予を獲得する可能性を高められるといえるでしょう。

また、弁護士からの視点だけではなく、検察の視点をいれて複合的な刑事弁護の戦略を練ることが可能になります。また、経験に裏付けられた落としどころを見つけるもの、長けているといえるでしょう。

刑事事件の弁護に大切なことは弁護人の熱意

現場の刑事裁判畑を歩んできた判検事なら、経験は豊富です。年間数十件の民事事件をこなす合間に、4~5件の刑事事件を担当するような一般的な弁護士と比べ、捜査手法、起訴不起訴の判断基準、量刑相場などの知識は充実しています。

ただし、その経験は、検察官・裁判官の経験で、「刑事弁護人の経験」ではありません

例えば、弁護人として、最も重要な職務のひとつが示談交渉です。何としても示談を獲得する。被害者に追い返され、罵倒され、依頼者に代わり土下座をしてでも示談書に印鑑をもらう。

昔、裁判官出身の弁護士が、依頼者の家族に、示談をして被害者から示談書をもらって来るよう指示したという笑い話がありました。彼にとって、示談書は誰かが持って来るもので、自分が交渉して頭を下げ、もらってくるものとは思っていなかったようです。

弁護人に課せられた使命であり、その熱意が最も大切です。単に肩書き、だけではなく、最期はその弁護士の人柄を見て、依頼するかどうか判断するとよいでしょう。

弁護士の選び方は、下記を参考にしてください。

 

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