国選弁護士に依頼して、刑事事件の弁護人となってもらったけれど、どうも波長があわない、こちらの言うことをあまり熱心に聞いてくれない。刑事事件に慣れておらず、新人ぽく、どこか頼りない。
このままでは、裁判で不利にならないか心配なので、私選弁護士を変えたいが、変更することはできるのかでしょうか?
国選弁護人選任手続は若干異なる
事件内容によって、国選弁護人選任のための手続が異なります。
弁護人がいないと開廷できない必要的弁護事件は、被告人から請求すれば、国選弁護人がつきます。必要的弁護事件には、
- ①重大事件
- ②争点が複雑な事件(公判前整理手続、期日間整理手続に付された事件)
- ③裁判の手続を簡略化し、スピーディにする代わりに、被告人の利益が害されないよう配慮したもの(即決裁判手続)
があります。
それ以外の事件では、50万円以上の資産(現金、預金等)がない場合は、資産がないことを記載した資力申告書を裁判所に提出します。50万円以上の資産がある場合は、弁護士会に他の弁護士を紹介してほしいと申し出て、誰も引き受けてくれなかった場合であって、初めて国選弁護人がつきます。
もっとも、私選弁護の費用を支払いたくなければ、無料で引き受ける弁護士がいない限り、引き受け手がいないことになりますから、実際は、弁護士会への申し出は形式的に要求されるに過ぎません。
刑事事件の国選弁護制度は、資力にかかわらない
刑事訴訟法第36条は、
「被告人が貧困その他の事由により弁護人を選任することができないときは、裁判所は、その請求により、被告人のため弁護人を附しなければならない。」
としています。「貧困その他の事由により」ですから、財力があるか否かは問題外です。
弁護費用が払えるか否かに関わりなく、何らかの理由によって、私選の弁護人を選任できない場合であれば、国選弁護人をつけるよう請求ができるのです。
参考:国選弁護制度
但し、国選弁護士は、刑事事件の経験豊富な弁護士ばかりが選ばれるわけではないので、頼りない、やる気がないと感じることがあるようです。
その場合は、私選弁護士を選ぶことができます。
国選弁護人を解任してから、私選弁護を請求できる
当然ですが、国選弁護人がついたままでは、私選弁護人の選任を請求はできません。
国選弁護人を解任することは、依頼した被告人の自由です。解任することに何らの理由もいりません。
国選弁護人を解任すると意思表示さえすれば足ります。具体的には、国選弁護人に解任したい旨を伝えれば、国選弁護人が裁判所に解任なり辞任なりを伝えます。
被告人が在宅の場合は、裁判所書記官から、今後の弁護人について、他の私選弁護人をつけるか、国選弁護人をつけるか問い合わせの書面が来ますので、これに私選弁護人を希望すると記入して返送すれば良いのです。勾留されている場合は、拘置所に書類が届きます。記入して看守に渡せば、裁判所へ提出してくれます。