少年事件特有のしくみ
満20歳未満の少年が事件を起こした場合は、刑事事件で成人が受けることになる刑罰や処罰と違い主な目的は更生です。少年事件は、年齢ごとにさらに区分されています。
少年事件の特徴は、成人が受ける刑事事件のように罰則を与えることを主目的にしてはいません。厳しく罰するのではなく、更生させ社会復帰を目指す内容になっているのが特徴です。
更生させ社会復帰を目的としているため、付添人がその手伝いなどをしていきます。少年に対して付添人活動を行えるのは、弁護士だけではなく両親などの保護者や在籍している学校の先生や保護司など様々です。
家庭裁判所に送致されると、少年やその保護者は付添人を選択することができます。成人による事件では起訴される前に弁護士が選任され、起訴された後も弁護活動を続けることが少なくありません。少年による事件の場合は、起訴前の段階で弁護人を選任できます。
しかし、家庭裁判所に送致されると弁護人の効力がなくなるため、改めて送致後に付添人を選ばなければなりません。少年の付添人になるためには特別な資格などは必要なく、保護者や学校の先生などもなることが可能です。
誰でもなることができますが、弁護士資格を所持していない場合は裁判所の許可を得る必要があります。許可を出すのは裁判所ですが、選任できるのは事件を起こした少年やその保護者なので注意が必要です。保護者や医師など特別な資格を所持していなくてもなることができますが、更生し社会復帰を目的とした重要な役割を持ち合わせています。
少年犯罪に詳しく、法律などに対して豊富な知識が必要です。犯罪の中でも自白事件などの場合では、付添人には弁護士と同じような働きを必要とされてきます。保護者や事件の調査官などと一緒に、更生することができる環境づくりが必要です。
そのため、多くの付添人は弁護士が行っており全体の9割以上を占めています。付添人には2種類あり私撰と国選があります。私撰は私人が付けたもので、少年やその保護者の選任によるものです。保護者は、少年の意志には関わらず選任することが可能です。
保護者によって選任された場合は、少年側から付添人を解任することはできません。国選とは、裁判所が選任した付添人のことです。
国選付添人と私選付添人
国選付添人が選任されるのは次のような場合です。検察官が担当することが決定した事件で、弁護士が付いていない場合は国選が選任されます。少年が故意に相手を死亡させ死刑や懲役2年以上や禁固などに相当する事件で、弁護士による付添人がいない場合も同様です。
この場合は、家庭裁判所が弁護士による付添人が必要と判断されなければいけません。裁判を被害者が傍聴することができる場合も同様です。少年事件における付添人活動の目的は、処罰を与えるのではなく更生を目的としています。
少年の健全な心や体の育成や歪んでしまている性格などの矯正をし、同じような事件を2度と起こさせないために必要な措置を取っていきます。付添人活動の初期段階は、少年の拘留などに対する準抗告や異議の申し立てです。
身柄を拘束されている少年は、長期間拘留されたり鑑別所などに送致されてしまうと学校などを休む必要がでてきてしまいます。身柄を拘束した警察などからも学校などに連絡をされる可能性も高くなり、少年が退学などの処分を受けることが少なくありません。
学校などから退学処分を受けてしまうと更生させることが難しくなります。少年の社会復帰などのためにも、拘束されている身柄を早期に解放させることが必要です。
付添人に選任された人は、調査官と面談することができます。調査官からの少年に対する意見は、裁判官の判決に大きな影響を与えることが多いのが特徴です。
裁判官の判決には調査官からの意見が重要視されるので、付添人は面談で少年に対する処分の意見交換をする必要があります。このように少年事件では、付添人活動が非常に重要です。
そのため、付添人には様々な権限が与えられています。事件を起こした少年の審判へ出席することも、付添人の権限の一つです。裁判記録や事件の証拠品などを、付添人は閲覧することができます。
身柄を拘束され少年鑑別所などに収容された場合、少年と面会する時に立会人の必要がありません。家庭裁判所などに送致され審判が開かれた場合、証拠を調べるための手続きに立ち会うことができたり鑑定人や証人などに対する尋問を行うことができます。
また、少年審判へ意見を陳述することや証拠調べ等に対する申し出などや、決定された保護処分などへ抗告できるのも付添人の権限です。
私撰と国選は、どちらがよいのかは判断すること難しいことになります。国選のメリットは、必要となる費用を国が出してくれる点です。私撰は、自分たちの判断で選任することができるのが大きなメリットになります。
このように、少年事件では付添人活動が重要な役割を担っているのが特徴です。