今回は、刑務所での1日の過ごし方やその実情について、解説していきます。
刑務所での1日は、基本的に以下の表のような時間割で過ごします。
朝は早く起き、夜は早く寝るという規則正しい生活のなかで、懲役刑の場合には、平日の日中には刑務作業を行うことになります。
夜には自由時間も設けられており、テレビや漫画を見たり、読書、手紙を書くなどができます。
ここからは、刑務所での1日の中のそれぞれの行動について、詳しく見ていきましょう。
刑務所での刑務作業
まずは、刑務作業についてです。
先程説明した通り、懲役刑の場合には、平日の日中は刑務作業を行うことになりますが、ほとんどの禁固刑受刑者も、何もしないと退屈で苦痛という理由から、自ら希望して刑務作業を行っているようです。
刑務作業には、生産作業・社会貢献作業・職業訓練・自営作業の4つの種類があります。
非常に低額ではありますが、作業報奨金も支払われます。それぞれについて見てきます。
刑務作業①生産作業
まずは、生産作業です。
生産作業では、石鹸やノート・ボールペン、神輿などの物品を制作します。
生産するものは、国の物品になるものから、企業や個人から注文を受けて作るものまで様々なものがあります。
刑務作業②社会貢献作業
続いて、社会貢献作業です。
社会貢献作業は、受刑者が社会に貢献していることを実感することにより、改善更生と円滑な社会復帰を図るために行われるものです。
通学路等の除雪作業や、植生保全のための除草作業などがあげられます。
また、昨今の新型コロナウイルス感染拡大に伴い、民間の医療機関に対して、感染予防に用いられるアイソレーションガウン約140万枚を全国42の刑務所で制作する支援も実施したようです。
刑務作業③職業訓練
続いて、職業訓練です。
職業訓練は、出所後の就労が有利に働くように受刑者の職業に関する免許や資格を取得させること、職業に必要な知識と技能を習得させることを目的として行うものです。
溶接科やフォークリフト運転科、社会福祉科など、約50種目が実施されています。
刑務作業④自営作業
続いて、自営作業です。
自営作業は、掃除や洗濯をはじめとする、受刑者が矯正施設で生活するにあたって必要な作業です。
刑務作業の中でも花形の職種になるようです。
今まで紹介してきた刑務作業は刑事施設内で行われるものですが、収容生活の中で一定の要件を満たしている受刑者については、刑事施設の職員の同行なく、刑事施設外の民間の事業所に通勤して、作業に従事したり職業訓練を受講したりすることができるようです。
以上が、平日日中に行われる刑務作業になります。
刑務所での食事
続いて、刑務所での食事についてです。
食事は、朝・昼・晩の3食が提供され、その内容は栄養士が管理しています。
麦入りご飯を主食とするメニューが中心ですが、おかずはバラエティ豊かなもので、パン食や麺類、ジュースなどがメニューに組み込まれることもあるようです。
食事の予算は受刑者1人あたり1日420円程度で、写真からも分かる通り、比較的充実した内容です。
ただ、薄味の味付けで食事が冷えているなど、収監された刑務所にはよりますが、あまり美味しくないという意見もあるようです。
刑務所での食事【番外編】
また、刑務所では、時々お菓子が支給されたり、クリスマスやお正月などのイベント時にはチキン料理やおせち・お餅などが支給されたりします。
体験談によると、お菓子については、100円のお菓子が一袋でる、というイメージが良いようで、しょっぱいものより甘いものが好まれているようです。クッキーやかりんとう、板チョコが人気だそうです。
イベント時のご飯については、「お餅が冷えていて硬かった」「凍ったままのお刺身がでた」などの体験談があり、普段と比べたら特別感はあるものの、どこかもの寂しい感じであるようです。
現在はコロナウイルスの影響で中止されていますが、刑務所での食事を体験できるイベントなども開催されているので、気になる人はぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
刑務所での運動
続いて、運動についてです。
刑務所内では、平日に30分運動することが許されています。
運動の内容は自由で、ランニングや筋トレ、野球などが行われています。運動時間に何もしなくてもよく、過ごし方は個人の自由です。
実際に刑務所に入っていた人は、「自分が釈放された時にすぐにでも社会で仕事ができるように筋トレは欠かさずに行っている」と述べていました。
また、刑務所内のイベントとして、運動会や球技大会が開催されることもあるようです。
刑務所の入浴
刑務所内での入浴は、夏季に週3回、冬季に週2回と決められています。
石鹸は支給されますが、自分で購入したり、差し入れをもらったりすればシャンプーやボディーソープを使うこともできるそうです。
1回の入浴は15分と決められているため、湯船に浸かろうと思うと相当急いで体を洗わないといけないようです。
刑務所での自由時間
夕食後の自由時間と、休日には、読書やテレビ、ラジオの鑑賞などが許されます。
この時間に日記をつけたり、手紙を書いたり、買い物をしたりする人もいるようです。
ただし、買い物については購入の申請が必要だそうです。
まとめ
ここまで、刑務所での1日とその実情について解説してきました。
みなさんは刑務所での生活についてどのような感想をもったでしょうか。
令和2年の犯罪白書によると、刑務所出所後に再び犯罪を行い、刑務所に戻ってくる確率が男子は58.3%、女子は49.8%と、男女ともに約2人に1人が刑務所を出所してもまた戻ってくるような現状がみて取れます。
刑務所としては、人権を意識しつつも、「刑務所には2度と戻りたくない」と思えるような環境を作ることが必要なのではないでしょうか。
以上、今回は、刑務所の1日とその実情について解説しました。